知りたい!の源

京大卒の塾講師が感じた様々な事を書くブログ

賢さとは思いやりの事。

本当に賢い子は、理解力がずば抜けています。 1を聞いて10を知ることができるのです。

それは、なぜでしょう? 答えは、「人を思いやる事ができる」からです。

結論から言ってしまえば、賢い人が話をすぐ理解するのは、話し手の言っている事の本質部分を自分の経験と重ねる事ができ、話し手の気持ちや思考を推測できるからです。

例えば、飼っているペットが亡くなって悲しんでいる人がいるとします。 あなたは、その人の話を聞いています。 そのペットが、イグアナだったらあなたはどうしますか? 「どうしてイグアナが死んで悲しいの?私はイグアナが死んでも悲しくないよ。」なんて言いますか?

イグアナかどうかは大事な要素なのでしょうか? その人は、飼ったペットがイグアナだったから悲しくて、イグアナじゃなかったら悲しくないのでしょうか?

違いますよね? あなたにとって、誰かが死んで悲しい時はどんな時ですか? それは、大好きな存在が死んだ時ですよね?

自分にとって大好きな存在は? その存在が死んだら? そう考えられる人は、悲しい理由をいちいち全部説明してもらわなくても、飼い主の気持ちが理解できるでしょう。

勉強も同じです。 この公式を作った人は、何をしようとしていたのか。 こういった動きをしたくなる時は、どんな時か。 そう考えれば本質がわかります。 さらに、自分の経験の中では何と同じか。 そう考える子は、10まで聞かないでも途中で全てわかるんですね。 リアルな感覚として、理解できるのです。

人を思いやる力と地頭力はつながっています。 他人の考えや思考を、自分の中の感覚に重ね合わせることができる人は、教科書を読むだけで著者の意図を把握し内容を理解できるのです。

ただし、一見思いやりに思える、「人の気持ちを考えろ」という言葉には注意が必要です。 人の気持ちを推測することと、人に合わせることは違うことです。 いいか悪いかを他人に決めてもらう人は、自分の中にあるリアルな感覚を使って物事を理解しようとしません。結果、理解がとても浅くなります。 10を聞いて1を知るタイプになってしまうわけです。

ほとんど人生観に近い話ですが、賢くなるには、いいか悪いかの基準を自分で決める「覚悟」を持つ必要があります。 どうしてそう考るのか、自分で納得できるだけの根拠を持つこと。その覚悟を親御さんが持ってください。強制しなくても、子供は大人の背中を見て勝手にマネするものだと思います。