理系に進むならマスターしておくべき事。
高校の理系の科目すべてに共通して必要な力を一つ挙げろと言われたら、何だと思いますか?
以前にも少しだけ書きましたが、私は「基準の何倍か?という感覚」だと答えます。
ほとんどの公式は、基準の何倍か、と考えるだけで理解できるからです。
何倍か?なんて、誰でもできる!と思った方もいるかも知れません。 しかし、かなりの人が出来ていないのが現状です。
次の問題にどこまでこたえられますか?
1)6は2の何倍ですか?
2)120cmは100cmの何倍ですか?
3)1は3の何倍ですか?
4)下の長さは上の長さの何倍くらいですか?
5)図の上の線を長さが2/5倍になるように切ります。切れ目を入れる位置を指で示してください。
6)図の下の線の長さを1.1倍になるように右に伸ばします。どのあたりまで伸ばせばいいか指で示してください。
7)200円の1.1倍は何円ですか?
それでは、問題の意図を説明しましょう。
1)が答えられる人は、整数倍が理解できています。
2)が分かる人は小数の倍率を扱えています。
3)が分かる人は分数の倍率を扱えています。
4)~ 6)が分かる人は倍率の実際の感覚を理解しています。
7)はおまけです。
~倍なんて簡単!と思うかもしれませんが、常識でわかる範囲を超えてよく理解しておくべき部分は意外と多いです。
とくに4)~6)のように、感覚として~倍があつかえることが大事です。
公式の意味を考えよう!
公式は実は、この~倍という感覚があれば、ほとんどのものは覚える必要がありません。
例えば、四角形の面積の公式。
縦×横=面積
たて、かける、よこ、イコール、めんせき
これはいったいどういう意味なのでしょうか?
これは、虎とライオンを掛け合わせて生まれた動物をライガーと呼ぶ。というような意味なのでしょうか??
ということは、縦と横を掛け合わせた子供は面積???
もしかして、縦と横を鍋に入れてぐつぐつ煮込み、最後にイコール!と叫ぶと、面積ができる??
さっぱり意味が分かりませんよね。
公式をそのまま日本語のように読むことが、理系から脱落する第一歩です。
公式だけでは意味は理解できません。もっと具体的に見たいので、実際の例を考えてみます。
問題)縦2cmで横3cmの長方形の面積は何㎠でしょうか?
公式は、基準の何倍か?を示している。というのを思い出してください。
実は、絵で見てしまえば簡単です。
縦1cm、横1cmの青い四角を「基準」にします。
やることは、「この横長の長方形の広さは、基準の何倍でしょうか?」と考えるだけです。
縦は2列、横は3列なので、2×3の6個分ですね。基準の6倍です。
~倍の本質は基準です。
「基準」は何なのか?をきちんと意識しましょう。 そうすれば、公式というのは単に当たり前のことが式にまとめられているだけ、ということに気づけます。
縦×横=面積
この公式の本質は、縦1cm横1cmの正方形の面積を1㎠(基準)と「決めた」ことにあるのです。
1㎠の6倍なので、長方形の広さは6㎠ですね。
基準を意識すると、~倍は一気に具体的にイメージできるようになります。
具体的なイメージを持ちながら~倍を扱っていけば、片方が2倍になったらもう片方も2倍になる、というような比例の感覚も簡単につかむことができます。
あなたが習った公式はいったい何を「基準」にしているのでしょうか? ぜひ、考えてみてください