知りたい!の源

京大卒の塾講師が感じた様々な事を書くブログ

理解力がある子とない子3

どんぐり式は、親がやらせている事を全てやめる事を、強く勧めています。


この事を、「子供の負担を軽くして余裕を持たせる」くらいにしか考えていない親御さんもいる様です。


しかし、発案者の書籍やブログ記事をよく読んでみると分かるのですが、実は習い事や宿題をやめる・やめないは、1番大事なことではありません。


子供が何かを吸収するには、安心、つまり心の余裕が必要です。

心の余裕をもたせるなら、焦らずゆっくりやれば良い、とお思いになったかもしれません。

しかし、心の余裕は時間の余裕ではない!のです。


どんぐり倶楽部のHPにも

「安全→安心→安定 ⇒ 入力可能」

と言うフレーズがありました。



「安全」は、屋根がありご飯があり布団があり、という事。これはどの家庭もほぼ問題ないでしょう。


そして、「安心」。こちらが本当に大事なのです。


それは、「自分でいられる事」です。

つまり、自分が思った事を、そのまま感じて、思った様に実行できる、という事です。


勘違いしやすいと思うのですが、これは決して、親が子供の願いを全て叶えろ、わがままを聞き続けろ、という事ではありません。以下のような事を「しない」事です。



例えば、子供が失敗しそうだから、「親」が先周りして手を出す。


例えば、子供が主体でする習い事や家庭学習を「親」が決める。


例えば、子供の言動が「親が思った」ようにならないから、怒りの感情をチラ見せしたり白々しく褒めてたりして、親の意向を悟らせる。


(余談ですが、実は感情に「不快」はあっても「怒り」と言うものはありません。それは、相手を自分の思う通りにさせようとする強制のコミュニケーション術なのです。)


こう言った事を全くされない事です。

これらは、親が子供をコントロールするのだと言う強いメッセージになっています。


このメッセージは、子供に自分の感じた事を信じなくさせる効果があります。

かくして子供は、何も心に残らない=記憶に残らない状態に陥ります。



全ては「入力可能」になってからです。

理解力をつけるためには、文字に結びつける感情豊かな原体験が必要です。しかし、原体験を吸収するにも、自分の感じた感情・感覚を否定されない、自分が感じた事をそのままに受け取って良い、と言う「安心」の状態が必要なのです。


宿題や習い事を制限する事はその一例です。

「親が」させたい事を排除しているだけなのです。


子供に、あなたの感じた事は、その通り!感じた事をそのまま感じていいんだよ!と言うメッセージを態度で伝えつづけてください。


それは、一緒に楽しく過ごし、もし何かしていれば、「見守る」、それしかしない事です。


子供からのアプローチを待ちます。


親の意向を押し通すのは、危険な時、社会的に問題ある時。その2つだけにしましょう。

子供が安心し、心に余裕が出来てくれば、親の意向にも自然と配慮してくれます。


「自分の感覚が信じられる」まで心がもどって「入力可能」になったら、子供は自力で様々な事を感じ取り、理解できるようになります。


「入力可能」になった印が言動の「安定」です。入力が始まれば、ニコニコ、楽しい、うれしい、感動!など、感情が豊かになり始めます。

それまでは、何をしても効果はありません。


ひとつだけ、気をつけるべき事があります。

親がチラ見せする意向を敏感に感じ取り、それをあたかも自分が選んだかのように発言したり振る舞う子がいます。


一見、「安定した」素直ないい子に見えますが、これは非常に危険です。


余裕があって配慮してくれているのなら、イヤだけど、まあいいよ。と自分の感情を表現出来ています。そして、引きずりません。

無意識に自分の感情を押さえつけている場合、嫌なはずなのにイヤとは一言も言いません。


良く観察すれば、一体どちらなのかに気づくことができるはずです。