知りたい!の源

京大卒の塾講師が感じた様々な事を書くブログ

比べるおはなし

どうぶつの学校ではどうぶつの子どもたちが楽しく遊んでいます。

ライオンのレオくん、チーターのしゅんくん、

ラッコのまりんちゃん、パンダのひまりちゃん。他にもたくさんの子どもたちがいます。

ある日、ライオンのレオくんとチーターのしゅんくんが言い争いをしていました。

 

レオくんは、俺んちの方が速い!

しゅんくんも、おれんちのがはやいの!

と、どっちも自分の方が速いとゆずりません。

 

そこへ、イルカのそらちゃんが通りがかりました。

なんでケンカしてんのー?

まわりにいた子たちが口々に説明します。

 

こないだ、テレビで車の映画があったんだってー。

 

そそ!そしたら今朝レオが、この中だったら俺んちの車が一番はやいな!って言い出して。。

 

そしたらしゅんが、いや俺んちのだろ!って

 

そうそう!そっからずっとこんな感じー。

 

ふーん。そーなんだ。

そらちゃんは、結局の所どっちがはやいのか、少し興味がわいてきました。

 

で、どっちがはやいのー?

 

すると、レオくんが言います。

俺の車はこないだ駅まで走って12分だった!

 

そしたら、しゅんくんも、

それなら、俺んちのは駅まで3分だったし!

 

なら、しゅんちの車かぁ!

 

みんな、しゅんちの車の方が速いのかな。。ってなり始めたとき、キリンのみおんちゃんがいいました。

 

てか、レオの家って駅から遠いよね?たしか6キロくらい?しゅんちは2キロ?

 

あ、そっかー。なら、レオかー!あれ?でも、しゅんの方が時間短いし。

 

えと、レオんちのは6キロを12分でしょー?

しゅんちのは2キロを3分だよね?

だからー、あれ??

 

みんな、よくわからなくなりました。

おしまい。

 

 

 

 

 

 

 

答え出さへんのかいっ!

というツッコミは一旦置いておいて、こんな時、どうやって速い方を決めたらいいんでしょうか?

 

もし、走った距離が同じで、どちらも6キロだったら簡単ですね。同じ距離を進むのにかかった時間が短いしゅんの家の車の方が速い、ですよね。

 

もし、2人のかかった時間が同じで、どっちも12分だったとしたら。こっちもかんたん。同じ時間で長く走ったレオくんの家の車の方が速い、ですね。

 

でも、距離も時間も違う。

 

どうやって比べますか?

 

 

 

そう!

違うなら、同じにしてしまえばいいんです!

走った距離を合わせてもいいし、走った時間を合わせても、どちらでもいいんです。

 

まずは、走った距離を合わせることにしてみましょう。あとで、時間を合わせるのもしてみます。

 

 

しゅんくんちの車は駅までの2キロを3分で走りました。レオくんちの車が走った6キロに合わせてみましょう。

しゅんくんちの車だと、6キロは何分かかるでしょう?

 

2キロを3回繰り返したら6キロ動いたことになりますよね。

そしたら、かかる時間も3回分になります。

ということで、しゅんくんの家の車は6キロ動くと3分の3回分、つまり9分かかります。

 

レオくんの家の車だと6キロ動くのに12分でした。

 

レオくんちの車は6キロ12分。

しゅんくんちの車は6キロ9分

 

 

そう!速いのは、しゅんくんの家の車ですね。

 

もうひとパターン。

もし、時間を合わせるとしたら。

 

もう一度思い出しましょう。しゅんくんちは2キロを3分でした。レオくんちの車は6キロ12分。今度は12分の方に合わせてみます。

 

3分は4回分繰り返したら12分になります。

その間に進んだ距離も2キロの4回分で8キロ。

 

レオくんちの車は12分で6キロ。

しゅんくんちの車は12分で8キロ。

 

 

やっぱり、しゅんくんの家の車の方が早いですね。

 

こんな風に、速さを比べる時は、時間か距離を揃えないと比べられません。

しかし、毎回毎回、時間を合わせるか距離を合わせるのかを考えるのはめんどくさいですよね。

なので、昔の偉い人達は話し合った結果、速さを比べる時は時間を合わせる事に決めました。

 

 

さらにもう一工夫。

毎回何分に合わせるかを決めるのもめんどくさいので、1番基本の1分(か1時間か1秒)に合わせる事にしました。

そうすれば、2分なら走った距離を2で割る、5分なら走った距離を5で割る、のように、時間の数字をそのまま使って割り算すればいいから頭を使わなくていいからです。

 

そして、こうやって揃えた移動距離を「速度」と呼ぶようになりました。1分での距離は「分速」というように、1に合わせた時間がわかる名前をつけて呼びます。

 

レオくんの家の車の場合、1分で1/2キロ=0.5キロ。

つまり、分速0.5キロ。

 

しゅんくんの家の車は1分で2/3キロ≒0.67キロ。

つまり、分速約0.67キロ。

 

そして、速さはもう一つ便利なところがあります。

それは、時間の長さを変えた時、どれだけの距離を動くか、簡単に求められるのです。

 

例えば、1分で2キロ、みたいに分速を出しておけば、もしかかった時間が5分なら5倍なので、2×5=10キロ。10分なら10倍なので、2×10=20キロですよね。そう、分速の数字に時間の所の数字を掛け算すれば、進んだ距離になるのです。

 

速さ×時間=みちのり(距離)

 

というのは、速さと時間を掛け合わせ(?)たら距離になる、という魔法使いの呪文みたいなものではありません。

基準を

"1"分(か1時間か1秒)で進む距離

と決めたから、時間の数字がそのまま、基準の何倍か?を表しているよ。

この公式はそう言っているだけなのです。

 

何を基準にしているか?が大切です。

そう考えると、ほとんどの公式はただ当たり前のことを言っているだけの単純なものに見えるようになります。

 

理系科目で苦労する人としない人の分かれ目は、ただこれだけの事ではないかと思います。